彼女は部屋の彼方此方に張り紙をして出て行った。

「頑張ってね。またちょくちょく帰って来るからね。」と書いてある。
僕の心に彼女の声が響く。幻聴なんかじゃない。
これが三箇所。

もう一種類の方には、
絶対に守らなきゃいけないこと。
1. シャワーの後に歯を磨くのを忘れないこと。
2. 一階のトイレを何時も綺麗にしておくこと。
3. そのベッドに他の女を寝かせないこと。
と書いてある。
これは二箇所。
こんな張り紙に監視されていたら、連れ込みたくても連れ込めない。
思えば、去年までは多くの女たちを僕のベッドに寝かせたものだが、半年程前からはすっかり変わって、しばらく他の女を欲しいと思わなくなってしまった。
時々歯磨きを忘れて口が臭いのは社長として良くない。トイレは会社の顔だから綺麗に保たないと行けない、ということらしい。
彼女と彼女の妹夫婦は、明日の朝に天空の村を出てカオヤイ高原に来て、いちご畑の準備を始める。
そのお金は僕が出資する。
彼女のためではない。自分のためだ。
