ノンタブリのオフィスを出てタクシーに乗ると、高速道路は思いの外空いていて、スワンナプーム空港まで僅か33分しかかからなかった。サトーンやシーロム辺りからよりも早く着いたことになる。料金はメータープラス高速道路代で、計380B。引越で空港へのアクセスが悪くなるのを心配していたが、これなら問題ない。
スワンナプーム空港からは、出発4時間前までに来るようアナウンスされていたが、搭乗手続きもパスポート・コントロールも正常に機能していて、しかも旅客が少なく、両方共待ち時間ゼロで通過。デモ隊がコンピューターを止めるというリスクを考えて、早めに家を出て来たので、3時間も空港で時間を潰さなければならなかった。
時間を持て余した僕は、いつもは絶対立ち寄らないJIM THOMPSONのお店を覗いてみた。有名ブランドとは言え、チャトチャックの10−20倍の値段。鼻で笑って取り過ぎようとした時、息子の彼女に何もおみやげをあげたことがないことを思い出した。
自分や身内で使うならともかく、他人へのおみやげの場合はノーブランドよりブランド品がいい。そういえば、息子にも安いコピーソフト位しか買ってあげてない。子供も出来て、近く結婚もするであろう二人に何もおみやげを用意せず手ぶらで帰るのは、父として格好良くない。妻も最近、息子の彼女にティファニーのネックレスをプレゼントしたと言っていた。僕はまだ無収入で、贅沢が出来る身ではないが、一応肩書は社長になったわけなので、こういうときこそ息子やその彼女にいいところを見せておこう。情けない無職の親父じゃいけない。せめて子供達の前では、格好いい父親でいたい。
というわけで、良質の絹100%のスカーフを彼女に、ネクタイを息子に一つづつ購入した。JIM THOMPSONの札や刺繍がついていなければ、2つで1,000円で買えただろうが、その数十倍の金額を払ってしまった。

成田空港から普通電車で千葉に向かっていると、珍しく実の娘からLINEで、
「もう事業始めてるの?」との問い合わせが。実の娘は、県内の別の街で暮らしている。
「会社とオフィスは出来たけど、実際の仕事はこれから。」と答えて、
「ところで、お父さんは今日日本に帰ってきたよ。今、成田からの電車の中。」と言うと、
「あ、そうなの?私も今日帰ろうとしてたの!」
「帰っておいで」
「お父さん、日本にいつまで居るの?」
「21日まで」
「じゃあ私も、20,21も帰ろうかな」
てな具合に娘とも会えることになった。
「しまった! 娘のおみやげがない!」
