僕がまだ幼かった頃、母は僕を溺愛し、僕が泣いたら何時も抱きしめてくれて、僕は母親の胸とお腹の柔らかさに包まれて、母の強さと愛を脳みそに刻み込んだ。
母が逞しい大人に思えたが、数えてみると、その時の母は未だ20代後半だった。
僕の母は、僕を溺愛し、「貴方は特別な人」という印象を僕に植え付けたので、馬鹿な自分は自分は特別な人と思い込んでしまった。
それが、僕の人生で皆から嫌な奴と思われた原因だと思う。
それを母のせいだと言うつもりはない。100パーセント、そう思い込んでしまった自分のせいである。
どんな母親も、自分の子供を特別に可愛がるが、だからといって子供は自分が特別な人とは思うことはないのが普通だ。
僕の母は、今年91歳になって、痴呆も進んできた。
けれども、昔のことはちゃんと覚えている。
僕が乳飲み子だった頃のことも、普段は思い出さないとしても、決して忘れずに脳裏に刻み込まれているに違いない。
当時の母は20代後半だが、その年齢はこのジジイに言わせたら、未だ大人の成り掛けである。
ワーカーの女達も、大抵は20代か30代であるが、他人の子も自分の子も、同じように物凄く可愛がる。
仕事そっちのけで子供の世話をする。
子供を可愛がることが自分の幸せの様に見える。
日本では、あまり見なくなったタイ女性(主にモン族だが)の良い所だと思う。
僕がマシュマロちゃんと知り合った頃は、彼女は未だ大学生で、僕が子供の頃の母親と僕との歳の差よりも大きかった。
当時は、僕はずっと歳上の日本人社長だったし、お金も割とあったので、彼女は僕に対して尊敬の念とがあって、年上の僕を馬鹿扱いすることはなかった。
ところが今や、僕は単なるボケ老人で、何も出来ず、ちゃんとセックスさえも出来ず、世話ばかり掛かる人に成り下がった。
30年の年の差があるのに、「あれやっとけ。これするな。そんなことも出来ないなんて、あんた馬鹿じゃないの?」のオンパレードである。
そう言えば、別れた元妻も、まったく同じパターンだった。
別に長老の様に敬って欲しい訳じゃないが、ちょっと虚しい。
