僕が子供だった頃は、まだお爺ちゃんっ子、お婆ちゃんっ子というのが沢山いた。

今はもう死語かも。

お父さんお母さんは忙しくて、幼児期に実質お爺ちゃんやお婆ちゃんに育てられた子供のこと。

現役時代の若い部下に、珍しくお爺ちゃんっ子がいた。

自分で、「私、お爺ちゃんっ子なの。」と言っていた。

お爺ちゃんっ子、またはお婆ちゃんっ子と、普通のお父さんお母さんっ子とは全然性格が違う。

普通のお父さんお母さんっ子は、爺婆臭い匂いが大嫌い。

あれは、脂肪酸が酸化分解たもの(主に9-ノネナール)が爺臭さの主成分。

当時、まだ40代だった僕は、物凄く爺臭かった。

自分でもプンプン匂って嫌だったし、皆から爺臭いと言われた。

当然、若い女性からは特に嫌われた。

歩くと、その後ろの空気が爺臭くなるのを自分でも知っていたが、知っていたけれど自分じゃどうすることも出来ない。

ところが、前述のお爺ちゃんっ子は、

「私、お爺ちゃん臭いと言われる匂い好き。 お爺ちゃんっ子だったからかなあ。 黄色く染まったお爺ちゃんの枕の匂い。皆嫌いというけれど私はあれが好きで、その匂いを嗅ぐと心が休まる感じ。」

と教えてくれた。

そういう人もいるんだ。

その後、50代中盤にタイに来た訳だが、不思議なことに、その爺臭さが消えた。

鈍感になって感じなくなっただけじゃなさそう。

僕をジジ臭いと言う人が居なくなった。タイでは聞いたことがない。

マシュマロちゃんなどは、

「貴方は身体が全然臭くないのが好き。」とさえ言う。

食生活のせいか、ストレスのせいか知らないが、自分でも爺臭さを感じることがなくなった。(寝息は酒臭いらしいが)

ところで、僕は七海ちゃんの父親である。

けれども、年齢は世間のお爺ちゃんと同じ。

つまり、匂いの観点からは、七海ちゃんはお爺ちゃん子ということになる。

と言うことは、大人になっても僕のことを爺臭がらない筈だ。