アップンはバンコクへ上京して二日目に運良く就職が決まって、早速昨日から働き出した。

日系のファッション関係の会社らしいが、名前を聞いても分からない。グーグル先生に聞いても分からない。

ただ、彼女が言うには、バンカピの近くの「とても大きな会社」で、仕事の内容はコールセンターの電話対応みたいだ。日系企業ならば、従業員を大事にするんじゃないかと思うので、僕も安心した。

「私、すごく幸せ。ずっと座ってできる仕事なの。月から土曜まで、毎日9時間だけど、9800バーツももらえるのよ。この私にしては、すごくいい給料だわ。」と言って、ウキウキだ。

アムナット・チャルーン県の田舎からすれば、高卒女で9800バーツは「すごくいい」ように思えるかもしれないが、バンコクでの生活はそう甘くはない。親への仕送りは1000バーツできるかどうかだろう。

職場から、一切お金をかけないで歩いて通えるところにあって、1,000〜2,000バーツのアパートを探すと言っていたが、そんなに安いアパートはバンカピ付近にはない。地方から出て来てランカムヘン大学に通う学生でも、大抵は4,000〜5,000バーツのアパートに住んでいるのを僕は知っている。

「歩いて10分のところにアパートを見つけたわ。綺麗じゃないけど、2,500バーツだって。それと、保証金に2,000バーツ。もっと安いところを探したけど、ないみたい。私、明日から、そこに行きます。」

とのことだ。まあ、2,500バーツならよく見つけた方だと思う。ちゃんとベッドもあるらしい。もちろん、テレビやエアコンや温水シャワーはない。

「250バーツで扇風機を買うわ。」

扇風機だけはないと、風通しの悪いアパートでは暑くて死んでしまう。250バーツでも、小さくてボロい中国製の扇風機はあるにはある。1000バーツ出すと、結構高級なのが買える。

 

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「毎朝、サンドイッチを作ってお弁当にしようと思ってる。いい考えでしょう?」

そういうアップンは、今一日に一食しか食べていない。ごはんを食べるのを節約してまでは力が続かないし病気になるから、ごはんはちゃんと食べるように注意するのだが、なかなか聞いてくれない。これがもし実の娘だったら、心配で飛んで行くんじゃないだろうか?

 

「私、あなたが私の街に来た時に連れて行ってくれたFUJIというレストランのティッシュを、まだ大事に持っているのよ」

というので驚いた。FUJIというのは、タイにある割りと高級な日本食レストラン・チェーンの名前で、彼女にしてみれば一生に一度の贅沢見たいな感じだったらしい。

来月バンコクで会ったら、美味しいものでも食べさせてあげようと思った。

 

 

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アップンが今まで過ごした一泊280Bの安宿。2段ベッドの相部屋じゃなかったけど、あるのは汚い布団のみ。