お客さん対応をそっちのけで、子供の世話をする幼妻に、僕は
「仕事中は仕事を最優先しろ。ガキのことなんか後回しにしろ。」と心の中で叫ぶ。
職場に子供を連れてくること自体、そもそも非常識。お客さんを後回しにするなんて、仕事を何だと思っているんだ。
と日本人の僕は思い、幼妻のことを社会的訓練を受けていない非常識で未熟な人間だと思う。
しかし、最近気付いた。そう思う自分の方が遥かに世界の常識から見て非常識だ。非常識だけじゃなくて、不道徳でもある。
幼妻は小学校しか出ておらず、15歳で妊娠。ろくな教育を受けておらず世間のことを何も知らない。異文化に対する許容性もゼロ(そもそも異文化を知らない)だが、自分の子供を盲目的に愛することは知っている。子供が泣けば、最優先で子供に注意を向け、危険から守る。時々我が子を全身で抱きしめる。子供は嬉しそう。
理由なんかない。それが自然だし、母親はそうあるべきだ。何処かの国に居る子供を愛せない母親よりも偉い。
僕が子供なら、母親は自分を最優先で全身全霊で愛してくれるべき存在であって欲しいし、それだから子供も母親を心から愛するようになる。
幼妻よりも僕の方が非常識だった。
彼らは朝農園に出勤して、そこで朝食を食べてから開店の準備をしていた。
僕は、「飯を食う前に開店の準備をして、それが終わってから(どうせ直ぐにはお客さんは来ないので)飯を食え」と注意した。
しかし、飯の為に働いている彼らにとって、僕の主張は非常識。
そもそも、三度の飯より大事なことなんてあるはずがない。

