昨夜は良く眠れなかった。

今日は術後の精液検査の日。精管再結合術で精子が出現しなかったらどうしよう?

マシュマロちゃんは泣くだろうな。

もともと、精子が出ない身体だった訳なので、ダメ元の挑戦なのだから、もしも出てくれたらラッキー御の字だった訳だが、まるで入学試験結果を見に行った時のように緊張した。

昨日まで溶ける縫い針の穴から膿が出て、術後の経過は余り良くなかったし、傷痕が痛くて古い腐れ精子を放出しきれてなかったので、良い結果は期待出来ないだろうと思っていた。

11時のアポなのに、8時半に半にセントメリー病院に着いてしまった。

緊張のせいか、血圧が158, 115もあった。

看護婦からデカい精液入れのカップを手渡された。

こんなに大量に精液を出す野郎が居るのかと思い、気後れした。

精液を自己放出してカップに取ってくることは僕は百も承知で、何処でどうやって放出するかも考えていて最低限の準備もしていたが、マシュマロちゃんは知らなかったようで、

「ここに取ってくるんだって、どうするの? 出来るの? 私が手伝ってあげようか?」

と嬉しい心配をしてくれた。

少し落ち着いてから、独りこっそりトイレに行き、スマホでAV系動画を無音で観てみたが、病院のトイレじゃあ雰囲気が合わな過ぎる。入れ替わり立ち代わり患者や掃除のおばちゃんが入って来るので、とてもじゃないけど自己放出する気分になれない。息子も「俺は関係ない」といった顔をしている。

マシュマロちゃんの助けを呼ぶこともチラついたが、男子トイレには入り難いし、こんな場所でどう助けて貰うのが良いか思い付かなかった。

そのうち時間が経過し、こうなったら力ずくで出すしかないと決意し頑張った。

なんとか出すには出せたが、ほんの1滴程度で終わった。

「駄目だ、これじゃ少な過ぎる。最低でも1mlは無けりゃ不味い。もっと出る筈だ。」

そう思って、必死で頑張ってしごいたが、息子が起きないのでやりようが無い。

小1時間格闘して、結局初めの1滴だけで断念した。

看護婦に、「取って来ましたけど、これだけしか取れませんでした。」と言って手渡したら、

「はあ? これっぽっちですか?」と笑われた。

「泌尿器科の看護婦ならそこで笑うな!」と言いたかったが、

「どうも気分が盛り上がらなくてね。」と軽く交わした。

美人看護婦が密室でエロい肢体を見せてくれたら、ドバっと大量に出せたのに、その手の奉仕は無くて残念だった。

1時間後、検査結果も出て、医師に呼ばれた。

ダメ元なんだからビクビクするな、と自分に言い聞かせて医務室に入った。

医師は、

「うん、ちゃんと出てますよ。」 と言って下の検査結果を見せた。

「量は少な目だけど、まだ初めだから。これから増えてくるし、動きも悪くない。上手く行かなかった時は、これが全部ゼロだから。これなら妊娠可能ですよ。良かったですね。おめでとうございます。」

先生も嬉しそうだった。

僕は、不覚にも眼に涙が溢れ、泣きそうになってしまった。

それを医師に見られ、

「僕の眼は良いだろう」と自慢された。

以前、「顕微鏡下じゃなくて本当に成功するのか?」と聞いたので、それに答えた訳だ。

用量はたったの0.5ml。正常範囲は2ml以上。

精子量は1ml当たり1000万匹。正常範囲は2000万匹。

「1500万匹以上ないと男性不妊なんじゃないですか?」と聞いたところ、

「精子の量は毎日変わるし、これだけあれば大丈夫。精子の動きも良いし、異常形態も少ない。」と医師は言った。

まあ、どれも正常範囲以下であるが、今まではゼロだった訳だから大いなる一歩だ、と思えた。

後は、せっせとやりさえすれば良いのだ。(訳者注:それが問題なのだが)

これまでは子供が出来る可能性がゼロだったけど、今は希望が見えて来た。

料金も安く、非営利組織の病院なことがよく分かった。

トータルで7万バーツ以下で済んだ。

「この病院で手術を受けることを決断して正解だった。」

と思った。