先日、友達の知り合いがやっているビジネスの現場を見せてもらってきた。彼女はそのビジネスだけで、年間1500万円儲けている。

彼女の客は外国人のバイヤーばかり。タイ国内では販売しないそうだ。

その日はインドネシア人の若いバイヤーが来ていて、現金で彼女の商品を買い付けていた。

商品の内容は書けない。

商品のチェックの際、彼女は窓のカーテンを閉めた。部屋の中には信用できる人間しかいない。その部屋は、普段は子どもの英語学校に使われている(それも彼女のビシネス)。商品は、別のマンションの部屋にストックされていて、取引の時に必要な分だけがその部屋に運ばれてくる。

こう言えば、それがイリーガルな物であることは容易に想像がつくだろう。イリーガルといっても、ヤクザが手を出すようなものではなくて、タイではほとんど罪悪感がない、いわゆるニセモノだ。著作権や商標権、意匠権に抵触する。

しかし、それは本物と同じタイ国内の工場で同じ材料で作られているらしく、現実的には本物と区別できない。法律で要求されるものも一見全て満たしている。

同じコピーがいくらでも出来る時に、本元とコピーの間で価値の差を作ることは経済学的に不可能であることは以前書いた。コンピューターソフトがそのいい例だ。教材のDVDもそう。僕が現場を見てしまった商品はデジタルものではなく、有体物であるが、購入した個人にとっては本物と変わらない。価格は10倍の差がある。

そういうわけで、海外のバイヤーに格安で売っても十分に利益が出る。買ったバイヤーは自分の国の卸か小売に売り、小売は本物より安い値段で売れるから、量が売れるのである。

その商売を僕にもやれという。もちろん、答えはノーだ。

日本の税関は意外と厳しいし、コピー商品に関しては日本はタイよりも遥かにシビアだ。こんなことで再びタイに来れなくなったり、会社が作れなくなったら、そちらのほうが大損害だ。

しかし、いろいろと勉強はさせてもらった。また、ヒントも得た。

この話とは別に、彼女はタイの女物の衣料を日本に輸出し、日本製の衣料をタイに輸入することを考えている。原宿や渋谷や秋葉原のファッションが欲しいという。今、タイでは、日本のファッションよりも韓国のファッションに人気がある(ファションだけではなく、映画や歌やアイドルも)。だけど、本当のハイソな人は、韓国ではなくてやはり日本に感心があるらしい。ただ、日本の小売や卸で仕入れた日本の服は、関税や運賃、保険その他の間接費に、タイでの流通コストが加わって、日本の価格の2.5~3倍になってしまう。これでは、売れるはずがない。商売の仕組み(生産から流通まで)を作りなおさないとダメだ。