タイ語で薬草、漢方薬、ハーブのことをサムンプライという。

漢方薬は中国から伝わったものだが、現在中国で売られている漢方薬の大部分は偽物で効果がほとんどないそうだ。

これに対して、日本で売られている漢方薬は品質管理に優れ、偽物がないうえ、非常に効果が高いと中国人は信じていて、訪日の際には日本の漢方薬をまとめ買いをして帰るし、日本にいる中国人から本国に郵送してもらったりする。

なかでも、葛根湯、龍角散、太田胃散、ツムラ漢方各種、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、味地黄丸(はちみじおうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、已黄耆湯(ぼういおうぎとう、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、が人気らしい。

僕が子供の頃は、父がビール酵母の強力わかもとを滋養強壮のために飲んでいて、僕も美味しかったから時々盗み飲みしていた。 正露丸(せいろがん)、葛根湯、龍角散、太田胃散などは、家の薬用箱の中に必ず入っていた気がする。 正露丸や太田胃散は自分でも効果があると感じた。

貧乏な山岳民族であるモン族も、サムンプライが大好きで、病気になればまずそれを使う。西洋医学の薬より安全で効果が高いと信じている。

先日、七海ちゃんが発熱した際、小児用のパラセタモン(アセトアミノフェン)と抗生物質(アモキシリン)を一日三回飲ませたが、モン族の変わったサムンプライも与えた。 

その与え方が変わっていて、薬草を煮絞った液を足の裏や手のひらに塗る。 すると、何故かそこが真っ黒になる。

上の写真は塗って三日後で、大分色が薄れてきているが、初日はマジックインキを手足に縫って遊んだなと思えたほど真っ黒だった。

七海ちゃんは丸二日で熱も収まり治ったが、治った理由がモン族のサムンプライの効果なのか、抗生物質の効果なのか、自然免疫が打ち勝ったのか、知る由もない。

にもかかわらず、そのサムンプライを塗ってくれたモン族のおばちゃんは、「私が塗ってあげたから治った」と信じている。


ところで、手足の裏に塗ったのは、ほかの部分に塗るとあまりに黒く目立ってしまうので、目につきにくい手足の裏にしたのだそうだ。

このような漢方薬は、その民族の住む地域の気候によって植生が異なるため、実に多くの種類がある。 効果の程や薬効成分について、医学薬学的に解明されているものは多分ごく一部だと思う。解明されていないものの中には、有効成分を精製すれば優れた新薬になる可能性があるものもきっと多いが、あまり研究が進んでいるようには見えない。

驚くべきは、サムンプライの知識が村に代々受け研ぎ継きられていることだ。 AIの力で、新薬発見につながればいい繋がれば良いのにと思う。