夕食後にポンプが止まった。

400メートル先のポンプをチェックしに行かないといけない。しかし、道は真っ暗のけもの道。どんなヘビが出るか分からない。

一人では危険すぎるので、男二人で2つの懐中電灯と刃渡り40センチの剣(ナイフ)を持って、真っ暗な藪を下った。

途中、僕の長靴の中に冷たい何かが入ってゾッとしたが、幸い剣を使わずしてポンプに辿り着いた。ポンプに電気を送る分電機の過負荷が原因で遮断機が作動していたのだった。

こうしたことは、水の出口を全部閉じて、なおポンプを作動している時に起こりやすい。何処か末端を開けておかないと、ポンプに負荷が掛かり過ぎるためだ。

遮断機をリセットすると、塩化ビニール管の中に水が流れる振動が微かに感じられた。

それで二人は家への道を戻った。

途中、長い登り坂で息が切れて空を見上げると、うっすらと銀河が見えた。

カシオペアと北極星は低い位置にあった。

何年間もの間、キーンと寒い冬の日本の夜空に輝くオリオンを見て、心から涙が枯れたのを感じてきた。そのオリオンはタイの夜空では見つからなかった。

「あっ、戻ってきた。水、出たよー!」

という女の声に迎えられ、登り坂で高まった息も弾んだ。

生を謳歌している感じがした。