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我が娘、七海ちゃんを見てつくづく思うことは、「たった一個の受精卵からよくもこんなに立派な赤ちゃんが生まれてきたものだ」ということ。 これは高等生物では「あたり前田のクラッカー」だろうけど、特に発生初期の遺伝子の動きは現代の分子生物学をもってしても解読困難な、言わば神の領域だ。

七海ちゃんの場合は、数百個以下の細胞でできた初期胚を移植してから10か月後に産まれてきたわけだが、ニワトリやアヒルの場合は僅か21日から28日で、ひとりで歩いて一人で餌や水が飲める状態で卵から出てくる。これは、どう見ても驚異的な速さだ。

これは生物の進化が生んだ、究極の「超特急プログラム」と言える。

人間の赤ちゃんが、安全なお腹の中で10ヶ月近く守られ、生まれてからも歩くまでに1年ほどかかることを考えると、「外敵だらけの厳しい世界に放り出されても、21日後にはフル装備で即戦力として立ち上がる」ニワトリのパッケージング能力は奇跡的。

この驚異的な「21日間の仕上がり」を支える、卵の中の秘密の工夫をもう少し掘り下げてみると、さらにその凄さが分かる。

目次

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1. 骨を急ピッチで頑丈にする「殻のカルシウム」

2. 脳と「目」の驚異的な発達

3. 生まれて数日は食べなくても大丈夫な「お弁当」

1. 骨を急ピッチで頑丈にする「殻のカルシウム」

生まれたてのヒヨコが自分の足でしっかり立ち、歩くためには、硬くて丈夫な骨が不可欠。 しかし、卵ができたばかりの初期、黄身や白身の中には、骨を作るためのカルシウムがそれほど多く含まれていない。

ではどこから調達するのかというと、なんと「卵の殻」を内側から溶かして、自分の骨の材料にしているらしい。

成長するにつれて、胚を包む血管が殻の内側にペタッと張り付き、殻のカルシウムを吸収する。

これにより、ヒヨコの骨は劇的に強化され、同時に「殻が薄く脆くなる」ため、21日目に内側から割りやすくなるという、一石二鳥の完璧なシステムである。

2. 脳と「目」の驚異的な発達

生まれてすぐにエサをついばむには、動くものやエサの粒を正確に捉える「目」と、首や足を緻密に動かす「脳」の連携が欠かせない。 そのため、ニワトリの発生プロセスでは、何よりも最優先で「頭部(脳と目)」が作られる。

温め始めてまだ3~4日の、体もろくにできていない段階で、すでに顔の大部分を占めるほどの巨大な目の原型ができ上がる。この超早期開発のおかげで、生まれた瞬間から「これはエサだ」と認識して動ける高い認知能力が備わっている訳だ。

3. 生まれて数日は食べなくても大丈夫な「お弁当」

「生まれてすぐエサを食べられる」ニワトリですが、実は生まれた直後の2~3日は、最悪何も食べなくても生きていける予備タンクを持っている。

孵化する直前の19~20日目、ヒヨコは残った卵黄(黄身)を、おへその穴から自分のお腹の中に丸ごと包み込むようにして吸収します(これを「残卵黄」と呼ぶ)。 この「お腹の中のお弁当」があるおかげで、生まれたばかりのヘトヘトな状態でもエネルギー切れを起こさず、安心して歩きながらエサをついばむ練習ができる。

生き残るための「引き算」と「足し算」 ニワトリは、21日間という短い納期の中で、「親に甘えるための機能(泣いて守ってもらうなど)」をバッサリ引き算し、その代わりに「目」「足」「自分で体温を保つ羽毛」というサバイバルツールを最優先で足し算して生まれてくる。