どうしてタイ人は、こうも我慢ができないんだろう。
日本人の場合、相当程度仕事が辛くても、自分の精神が病みそうになるまでは頑張って仕事を続ける。嫌な上司やお客に頭を下げるくらい朝飯前だ。毎日の痛勤電車だって、サービス残業だって、夜の付き合い宴会だって、誰だって我慢できる。そして、どうしても我慢できなくなったら、熟慮の結果として転職することを決意し、それから注意深く転職先を探し、めでたく転職先が決まってから、辞表提出となるのが普通だ。退職後はすぐに転職先で働くので、給料や社会保険の空白期間は事実上無い。通常、数カ月分くらいの貯金はある。
ところがタイ人ときたら、
気に入らないとすぐに会社を辞めてしまう。よく頑張って、次の給料日までだ。給料を貰ったらもう行かない。会社を辞めて、スッキリして、それからおもむろに次の仕事を探し出す。いくらバンコクでも割のいい仕事はそんなに簡単に見つからないので、仕事探しには苦労する。運良く半月ほどで就職先が決まっても、初の給料はそれから早くて1ヶ月先だ。辞める前にお金を貯めておくことはしてない(できない)ので、次の給料までお金が保たない。
トムについて上京してきたニンも、初月給の昨日会社を辞めてしまった。理由は、「仕事がいっぱいできついから。」
以前のブログで書いたように、目論見よりも給料が安かったというのもある。週休2日9,000Bの目標に対して、週休1日8,000Bだった。確かに、良い条件ではないが、高校を卒業し、チェンライの田舎から出てきたばかりの娘が出来る仕事には限りがある。慌てて探しても、50歩100歩の就職先しか見つからないのではないだろうか。あるいは、仕事が暇で楽ちんだったらそれでいいのかな?
先月にニンと同じような理由で会社を辞めてしまった姉貴分のトムにとって、ニンがお荷物になれば、僕にもとばっちりがかかりそうだったので予防線を張っておいた。
「お金がなくなったら僕の部屋に来て寝ればお金あげるから心配ないよ」
外国人が怖くて男性経験なしのニンには恐怖の言葉だっただろう。トムは「このひとでなし」というような顔をして僕を見る。
しばらくして、ニンは言った。
「実は私はトムなんです。」
トムとは姉貴分のトムのことではない。レスビアンのトムのこと。トムもニンがトムだなんて知らなかったそうだ(ややこしい)。
*
僕も会社を辞めちゃった口だけどね。しかも、次の仕事が見つかる前に。でもって、今は辞めて、スッキリしているところだ。だから、タイ人と変わらないかもしれない。
僕の場合、嫌で我慢して辞めたというより、会社生活に飽きたといったほうが近い。給料もステータスも上々だったし、上司にも仲間にも恵まれていた。でも、先が見えちゃったというか、このまま僕の人生が終わっちゃうのはもったいないと思って早期退職したわけだ。ヘッドハンター達が幾つか転職案件を持って来たが、全部断った。会社のお金で転職斡旋してくれる企業のサービスも受けていない。同じような道に戻るなら辞めた意味が無いから。
この道を選んで良かったのかどうかは、自分が死ぬときに自分にだけ分かる。それまでは、その時その時を大切に楽しんで生きるだけだ。
