娘のトムは飛行機に乗ったことがない。

チェンライ時代に国境の川を渡ってミャンマーに行ったことはあるが、他の外国は行ったことがない。

教養がないので、日本のことも全然知らない。

「日本にもお寺はあるの?」とか、「日本も雨が降るの?」とか、「もし日本に行ったら、桜と雪が見たい」とか言う。

何度も日本とタイを往復したおかげでマイレージが溜まったのと、タイ人の観光ビザが免除になったので、娘からおねだりされるとどうも断りきれなくなるお父さんは、それを使ってトムを日本に連れて行くことにした。(マイレージで自分の航空券を買って、トムの分を正規で購入したのだが、結果は同じ。)

しかし、トムは南国の夏服しか持っていない。秋の日本に着て行く服がないので、仕方なく服が安いので有名なプラチナムへ服を買いに行った。

 

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たくさん服を買ってご満悦のトム。

ブーツ、ストッキング、帽子、厚手の上着も買って、合計5000B にもなってしまった。

1500Bの予算だったのに。

 

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なかなか無かった長袖、タイツの組み合わせの服。これは僕が選んであげた。

帰宅後、トムは彼女のアパートに入っている美容院で買った服を着て友だちに見せたら、「凄いいいセンス、誰が選んだの?」と聞かれた。僕の名前を言うと、流石日本人と褒められたらしい。実際は、他に秋用の服が売ってなくて選択の余地がほとんどなかっただけだが。

トムは調子に乗って、「明日、もう一着別のを選んで買って」と電話してきた。まるで子供みたい。それはお断りしたが、代わりにブラジャーを買わされた。

トムはタラートで一着50Bのブラしか持ってなく、すぐにワイヤーが飛び出して肌に刺さるようになってしまう。それでも使い続けていて可哀想だったので、200Bくらいのブラを2着くらい買ってあげようと思いお店に行ったら、結局一着500Bのを3着買わされることになってしまった。

お店の人の「これなら4年は使える。3着買うと、今だけ15%引き。」という殺し文句に殺された。

ちなにみ、タイではカップル(親子だが)で下着を買うのは抵抗がない。50過ぎのおやじがブラを物色していても変態扱いされることはないし、僕自身も昔タニヤの女に何度かブラを買わされたことがあったので抵抗感はなくなっていた。トムは僕を更衣室の中まで連れて行き、どれがいいか選ばせる。発熱して身体のふしぶしが痛かった僕は、更衣室の椅子に腰掛けて着替えを待つのも辛かった。

そもそも胸がないのだから、どのブラだって同じ。どうでも良くなって、オーケーしてしまった。