アンコール遺跡群を訪れた人は、遺跡が主に二種類の岩で出来ていることに気付く。

一つは、骨格部分や基礎部分に多く使われる赤くて穴だらけの岩。

本当に空隙だらけ。まるで軽石みたいな火山岩に見えるが、アンコール遺跡群の近くに火山はない。それに、とても固くて重い。

この岩はラテライトという。ラテライトとは、イサーン大地を含むインドシナ半島を覆う赤い不毛な土のこと。日本にはない。

ウィキペディアでは、こんなふうに書かれている。

サバナや熱帯雨林に分布する。地表の風化物として生成された膠結物質(粒子間に鉱物が入り込み、それが接着作用をしたもの)である。雨季に有機質が微生物により分解することに加えて珪酸分や塩基類が溶脱したことにより残った鉄やアルミニウムなど金属元素の水酸化物が表面に集積して形成される。

構成鉱物は主に針鉄鉱、ギブス石、ダイアスポアなどで、インドシナ半島およびインド、キューバなどサバナ気候地方に広く分布している。やせ土なため農業には向いていないが、インドでは煉瓦をつくる原料に利用されている。

なにやら難しいが、要は石灰岩などが雨で侵食されて土になり、そこに水に溶けるものは溶け出し、残った重金属がくっつきあって岩になったもので、火成岩でも堆積岩でもない。穴だらけのくせにとても固くて重い。

どこかで見たような気がすると思っていたら、カオヤイの借家の庭に敷いてあった。

ラテライトは丈夫だけれど、穴だらけで表面はゴツゴツなので、彫刻には適さない。

もう一つは砂岩。

砂岩は風雨で削られ安い。人為的に剥がされる時は、多分火で熱せられて割られている。王や神の部分は黒く焦げていることが多い。

遺跡の城壁や塔の骨格部分はラテライトを積み上げて作られていて、その表面に彫刻された砂岩で覆う感じだ。

城壁や参道などは、ラテライトのブロックだけのところも多い。

このラテライトも砂岩も、アンコール遺跡の北東の丘陵地帯から運ばれて来たらしいが、こんなにたくさんどうやって持って来たのか不思議だ。こんな重い物を運ぶなんて、辛い仕事だったに違いない。

今ならコンクリートで作るんだろうけど、もしもアンコール遺跡がコンクリートで作られていたなら、熱帯モンスーン気候のカンボジアでは、見る陰もなく溶けて壊れていただろう。