予定帝王切開の二日前の7月8日の夜、マシュマロちゃんは住込みワーカー家族の為にゲンカリーワーンを沢山作って、皆で食べた。

それまで全く産気付いてなく、夜11時までYouYubeを観ていたが、12時頃に急に下腹部が少し痛くなり、頻繁に尿意を催してトイレに行くようになった。

それでも下着が濡れて、ナプキンにピンク色の血が少し混じった。

それを僕は、所謂「おしるし」と思ったので、心配ないと言って、そのまま放っておいたが、そのピンクの水がチョロチョロと夜中の3時まで続いて、トータルの量も数百ミリに達した。

マシュマロちゃんはお産が始まったから病院に行くと言い張るが、どのみち翌日のお昼に入院する予定だったので、慌てることはないと言い聞かせてみたが、ネットで調べると、それは「おしるし」ではなく、「上位破水」のようだった。

未だ陣痛は始まっていないが、破水なら早目に病院に行ったほうが良いし、もう眠れなくなったので、夜中の3時半にコラートのバンコク病院に行くことにした。

病院には5時過ぎに着いて、いろいろ検査をした結果、予定を1日早めて、その日の朝9時に帝王切開することになった。

マシュマロちゃんの抗リン脂質抗体症候群の為に毎日投与していたアスピリンとヘパリンは計画通り中断していたが、帝王切開が予定より1日早まった為に、アスピリンとヘパリンの影響が残っていて局所麻酔注入部位の出血が止まらない心配があるということで、全身麻酔下で手術する方針になった。

目覚めないかも知れないと思うと怖いと言って心配するマシュマロちゃん。

しかし、その後の血液検査が正常値だったので、やはり局所麻酔でやることになった。複数の医師の意見を纏めるのに時間が掛かったので、手術は遅れて10時半からの開始となった。

局麻の場合は、本人にも手術の進行が分かるし、産まれたら直ぐに赤ちゃんを見ることが出来る。更に、僕も手術に同席出来るので、マシュマロちゃんはとても安心した。

お腹を切り出したのが、10時45分で、50分には子宮に大穴が開いた。

そして、10時54分には、七海ちゃんが取り出された。

僕は手術の一部始終を至近距離で観ていたが、YouTubeで観たのとまるで同じだったので、落ち着いて見ていられた。

マシュマロちゃんからの出血量も多くなく、本人は痛みもなくケロッとしていたので、僕はホッとした。

七海ちゃんはお腹から出ると同時に(数秒も置かずに)、オギャーオギャーと泣いた。

胎盤もスルッと出て来た。

11時には、綺麗になった七海ちゃんと一緒に写真を看護婦が写してくれた。

こうして、7月9日午前10時54分に七海ちゃんは誕生した。

体重は3060グラム。身長は51センチ。五体満足。

それから4時間後、赤ちゃんに異常がないことが確認されて、七海ちゃんは僕らの病室に連れられて来た。

経緯を淡々と書けばこうなるが、その間に僕たちは何度も胸が熱くなった。

特に、マシュマロちゃんが高揚して涙を流すのを見ると、僕にも誘い涙が溢れてくる。

夜になって、未だ出ないオッパイを吸わせたり、オムツを替えたり、七海ちゃんの写真を沢山写したり、マシュマロちゃんに抱かれてスヤスヤ眠る七海ちゃんを見ていたりしたが、麻酔が効いているのかマシュマロちゃんは痛くないらしく、幸せそうな顔をしていた。

痛くないまま安全に子供が産めるなんて、有り難い話だ。

明日からは痛いと思うが。