月曜日から働いて貰っている新営業部員をディナーに誘った。
新入社員といっても、歳は僕と余り変わらないおばちゃんだ。何人かと面接して、例の怪しい女社長を採用することにしたのだった。月給はかなり踏ん張って35,000B。残業代、通勤手当はない。しかし、売上の10%をコミッションとして給料に加えることにした。
このコミッション10%と言うのは、かなり大きい。しかも、上限なし。売れば社長よりも高額の給料となる。
この5日間、様子を見てきたが、よく勉強するし、いろいろ提案してくるし、コスト計算なども自分でやり直して価格が適正かどうかチェックするなどで、かなり使えるような気がする。僕からいちいち細かい指示を出さなくても自主的に自分が何をすべきか分かっている。あくまで今のところだが、採用は正解だったように思う。

行ったのは得意の河辺のレストラン。 重要なポストの新人が来たら、ここでディナーをと前から決めていた。

雨期なのに乾いた風で涼しかった。チャオプラヤーの水位は低く、普段は水面下の川底が見えていた。

彼女の親は中国人で、彼女は2代目。ニューヨークに3年住んでいて、ニュージランドの大学を出てニュージランド大使館で働いていたこともあるというので育ちは良さそう。
そういうわけで英語は素晴らしく上手で、発音も例のタイ人英語じゃないので、意思疎通はバッチリ。しかし、声が小さく早口なので何を言っているのか分からないこともある。僕の英語力が律速になっている。
話を聞いてみると、彼女も随分栄枯盛衰の激しい人生を送ってきたようだ。社員やビジネスパートナーに裏切られて横領されたことも複数回あるようだ。

マシュマロちゃんが張り切って沢山の料理を注文したので、閉会の時に半分も残ってしまった。もちろん、残りはお持ち帰りで翌日のご飯となる。
マシュマロちゃんは、あと半月あまりでいちご事業のためにコラートに行くことになっている。
ここで彼女と食事をするのも、当分ないかもしれない。

起業時にいくつか建てた資金計画の最悪のシナリオに近づいてきた。だから、僕の気分は高揚しない。
これから彼女を使って本格的にタイ人社会に営業をかけてゆく。
僕の運命も彼女の活躍にかかっている。3ヶ月が試用期間で、その間に給料以上の稼ぎがなければ雇用は打ち切り。
その時は、僕の事業も見直しすることになるだろう。
