先月、森に入って発熱したときにカオヤイの薬局で体温計を買った。
懐かしの水銀体温計だ。摂氏と華氏の目盛り入り。
家には電池式のデジタル体温計が買ってあった筈だが、何処かに行ってしまい見つからなかったので購入した。
この水銀体温計は確か45バーツだった。僅か150円程度ということになる。
体温計は例の青いキャップのプラスチックケースに入れられていて、それがぎりぎり入る小さな紙箱に入れられて売られていたが、箱には説明書が入っていなかった。
また、そのプラスチックケースをクルクル回して水銀を下げる為の紐も入っていなかった(紐を付ける穴はあった)。
究極のコストカットだと思った。
タイはともかく、もっと貧しい国の貧しい人達に体温計を届ける為には、これ位の値段じゃないと無理なんだろうと思った。
ただ、僕の幼い頃の記憶では、体温計はとても貴重品だったような気がする。だから、子供は絶対触っちゃ駄目で、いつもお母さんが体温計を振ってから、子供の脇の下に差し込んでいた。体温を読むのもお母さんの仕事。
それでも興味深々の僕は自分で体温計を振って、水銀の部分を机の角に当ててしまい、体温計を壊してしまったことが、多分三度ある。
その度に酷く叱られた。だから、体温計は高価な貴重品であって、少なくとも今の価値で3000~4000円はするような存在だと思っていた。
それが150円だったので妙に安いなと思った。
それで今どきの日本では幾らなのか価格ドットコムで調べたてみたら、水銀体温計が出て来ない。
どうしてかと思ったら、日本では2019年つまり昨日から、水銀を使った体温計は販売、使用が禁止されたらしい。体温計だけじゃなくて、水銀血圧計も駄目。理科の実験室にあった水銀柱気圧計も駄目。
それで昨年は、家庭や病院や学校から大々的に回収作業や買取り作業を行ったらしいが、回収は容易じゃなかったようだ。
何しろ、普段開けない古い薬箱や戸棚の奥に忘れられて埃を被っていたりするだろうから。多分実家にも未だある。
病院や診療所、保健所は更に厳しい。水銀柱血圧計は使われる水銀の量が体温計の否じゃない。しかも、どんな田舎の小さな診療所にもあった。おそらく半分も回収出来ていないんじゃないかという気がする。
タイでは未だ現役の水銀体温計だが、森に入って発熱したので行ったバンコク病院カオヤイ診療所とパクチョンバンコク病院は、体温はおでこ一秒の赤外線式、血圧は椅子型の全自動だった(血圧だけじゃなくて他のバイタルサインも同時計測)。
しかし、運転免許更新の時に要る健康診断書を書いて貰った医院では、水銀柱血圧計だった。ワークパーミットを取った時の医院では体温計も水銀式だった。
ところで、タイではゴミの分別収集が行われていなく、水銀の入った使用済み乾電池もそのままゴミ箱にポイだから、水銀汚染は深刻なことになっているんじゃないだろうか。
環境汚染は困るが、実のところ電池式の体温計は、いざと言う時に電池切れで使えないことが多いので不便だと思う。滅多に使わないので、使いたい時には電池切れになっている。電池をコンビニに買いに行っても、ボタン電池は型式が多くあるので誤って適合しないものを買って来てしまうこともある。
それに、どういう訳か、デジタルで示される推測体温はいまひとつ信用出来ない気がする。水銀体温計を5分間以上しっかり脇に挟んでから読む体温が真の体温のような気がするのは歳のせい?

